短編プログラム1(74分/10作品)

色彩の中の秘密

色彩は常に、私たちの周りを包んでいる。だが、色彩が豊かであることが、必ずしも饒舌とは限らない。色彩を制限することから見えるものがある一方で、色彩が何かを隠してしまうときもある。そんな「色彩の中の秘密」を、さまざまな技法を駆使して見せてくれる作品たち。


「宇宙をつつむ布」
우주보자기/Fabric Cosmos
2015/11:05/チョン・スンヒ
2D、切り紙、オブジェクト

果てしなく大きな布で作り上げられた、布たちの宇宙。ある小さな星に、好奇心いっぱいな紙の少年が、リスと一緒に暮らしている。少年は宇宙の終わりはどこなのか、宇宙はどんな形なのか、絶え間なく問いを投げかけるが、誰も答えてくれない。そんなある日、宇宙の片隅に奇妙な結び目が浮き出していた。少年とリスは、神秘的で不思議な冒険の旅へと引き込まれる。

Director's note
確かに目の前にあるはずなのに、見ることのできないものが、世の中にはたくさんあります。そういったものに関心を寄せて、理解しようと努力してみると、異なる次元の世界を生きることもできるのでは、という思いが、なぜか浮かんできます。目の前のことを見るのに忙しく、紙人形のようにだんだん平べったくなっていくような気がしていた、そんなある日、無限の宇宙を夢みていた幼いころのことを思い浮かべながら、この作品を作り始めました。


「風」
바람/Ba-Lam
2015/08:35/ペク・ミヨン
2D、ドローイング

花を追いかけて運命に逆らう、ある蝶の物語。

Director's note
本能とは、危険な誘惑である。それが自らを破局へと導くと知りながらも、結局、従わざるをえない。そんな物語を、描いてみたかった。


「11色の平和」
열 한 가지색 평화/11 Colors in Peace
2015/05:20
参加作家 チョン・ヒョジン、Matthew GADBOIS、いわつき育子、ホン・ウンジ、パク・オロム、ソ・ヨンジュ、佐藤皇太郎、イ・ボム、村上寛光、チェン・シー、森下裕介
2D、3D、ドローイング、オブジェクト、他

11の色で織り上げられた、平和の物語。

Director's note
リレーアニメーションのテーマは、“平和”。私たちは“平和”について、語るべき多くのイシューを抱えている。平和とは、とても小さなことから始まって、壮大な次元へと広がっていくこともあり、時には平和な状態について、また時には平和のための行動について語られてきた。 限りないからこそ、もっとたくさんのことを語りたい、そして必ず成し遂げたいという思いで、平和を語っていくのだ。


「Johnny Express」
자니 익스프레스
2014/05:20/ウ・ギョンミン
3D

宇宙宅配人のジョニーは、今日も配達のため宇宙を旅している。あるとき、宇宙船はとても小さな星で、荷物を受けとった。 顕微鏡で拡大しなければ見えないほどの、とても小さな荷物。ジョニーは目的の星に降り立つが、受取人はどこにもいない。困ったジョニーは、受取人を探して星を歩き回るのだが…。たったひとつの宅配便が、紫色の生命体の文明を、滅亡の危機に陥れていた!!

Director's note
あらゆる年齢層と世界に向けて表現できる、宇宙という素材を選んだ。宇宙という制約のない世界で、想像力の限界に挑むようなコミックSFアニメーションを作ることで、見る人にギャグとファンタジーが分かりやすく同時に感じられるように企画した。


「心鏡」
심경/Mirror in Mind
2014/02:04/キム・スンヒ
2D

ある女が、自分の心の中をのぞき見る。張りつめた糸の上で、自分の理想を追う。彼女は、不完全な感情のかけらが集まって、自分が完成されていくプロセスを見つめる。

Director's note
不完全なことこそが、実は完全なことなのではないだろうか。 私たちは、不完全な価値観と考えがぶつかり合いながら作り上げられた、完全な存在なのだ。そのことを表現し、伝えてみたかった。


「クロ」
까망이/Noir
2015/03:20/キム・ソヨン
ドローイング、人形

カラスにつきまとう、多くの迷信と先入観。そうした嫌悪感を覆して、美しく賢いカラスの自我を突き止める。

Director's note
カラスは韓国をはじめ世界のあらゆる地域において、否定的な先入観と迷信と共に生きている鳥です。 ある日、“縁起が悪い”という偏見からカラスを追い払っていた人たちを見て、カラスだって誰にも迷惑をかけず平和に暮らしたいと思っているはずだ、と気づきました。そんな彼らの目線からこの世界を見たらどんなに切ないだろう、という思いから、この作品を作りました。


「環」
환/Cycle
2015/13:55/キム・ジュンギ
2D、3D

第2次世界大戦のただ中、主人公は韓国人だが、強制徴用によって、日本のため“カミカゼ”となって特攻しなければならない。故郷に妻と娘を残し、主人公はゼロ戦に搭乗する。

Director's note
未だ解決されない韓日の近代史の問題を、作品で表現したかった。このような作品をきっかけにして、両国民の関心が広がり、対話の機会が作られれば良いと思う。


「動物図鑑」
동물도감/The Animal Book
2015/04:37/チョ・ヒョナ、キム・スジョン
2D

もの静かな夜、人里離れた道路を走る自動車。 運転手は居眠り運転をしていて、道路に現われた動物は轢かれてしまう。 だがなぜか、動物の種類も棲息地も関係ない。 道路は巨大な動物図鑑から作られており、運転手の娘の手に握られる。自動車は新たな図鑑を作るため、再び闇の中へと消えていく…。

Director's note
ロードキル(野生動物を自動車で轢くこと)は、地球上どこでも頻繁に起きる、残酷な事故だ。 自分には関係ないと思う人もいるかもしれないが、実は誰もが一度は、ロードキルに遭った動物の死体を目撃したことがあるだろう。最初のうちは衝撃的だったが、現在ではすぐに忘れられるほどに頻繁な出来事となった。しかし観客は、この作品によって、無視しようとしていた真実を直視するきっかけを得るだろう。 また、この作品のテーマは、“ロードキル”という行為自体への反省と懺悔だけでなく、これまで“ロードキル”を”傍観”してきた人間の視点、態度、認識にも及んでいる。ロードキルに対する人間の無責任さと残忍さが、循環する歯車のように反復されていくことを観客が見抜いた時、初めて自分もその歯車の一つであったことを悟り、共感を抱いていくのではないだろうか。


「Colors in the Subway」
컬러스 인 더 서브웨이
2015/06:41/キム・ミョンウン
2D

初めてひとりで地下鉄に乗る子ども。地下鉄の駅で彼は、幾多の群衆の間をすり抜けていく。その群衆は誰もが同じように見え、彼にとっては恐怖でしかない。地下鉄に乗り込んだ子どもは、無色無臭の空間の中で眠りに落ちる。だが目覚めた時、彼は現実とは違う誰もいない車内に、ひとりきりで取り残されていた。そこで子どもは、それぞれに自分の色を持つ、特別な人々に出会う。

Director's note
地下鉄の中では多くの人々と出会うが、私たちは、それらをただ無色無臭の意味を持たない人々として認識し、互いにすれ違うだけだ。 しかし私は、彼らひとりひとりがそれぞれに歴史を持って輝く大切な人であることを、表現してみたくなった。子どもの目を通して、地下鉄に乗り降りする人々の、さまざまな生の物語を描いてみたかったのだ。


「Little King」
배다리뎐
2014/11:23/キム・ヘミ
2D

船で作られた浮き橋をめぐる、朝鮮の正祖王とある少年の物語。

Director's note
“孝(親孝行の心)”の思想は、古今東西を問わず人倫の大切な徳目の一つだ。 現代では急速に色あせていく“孝”。その大切さを、この作品を通じて、もう一度考えてみたいと思う。